ウィーンのクリスマスから年末年始の様子を、一部ご紹介しましょう。
「クリスマス」
まずはクリスマス市です。この冬は去年と違ってクリスマス市が開きました(それでも期間中に3週間のCovid-19によるロックダウンを挟みました)。では、私が行ったところの写真です。
市庁舎前 (リング通り側から)
これも市庁舎前 (ブルグ劇場の方を振り返って)
マリアテレジア広場
クリスマスのころ歌劇場では、バレエの「くるみ割り人形」、オペラの「ヘンゼルとグレーテル」など、子供が楽しめる出し物がよくかかります。
これに続く12月25日はクリスマスで祝日、12月26日は聖シュテファンの日、首都の真ん中にシュテファン大寺院があるくらいですから、大切な聖人で、これも祝日、つまり連休になります。
クリスマスの飾りは、年明けまで残ります。
「年末年始」
大晦日の頃になると街角に小さな屋台が立って、新年のための縁起の良い小物が売られます。四葉のクローバー、肌色の豚、てんとう虫、赤い傘のきのこ、黒い服の煙突掃除人などです。小さいものをたくさん買って、大晦日の夜までに会う知り合いに配ったりします。
クラッシック音楽ファンには、大晦日の定番はオペレッタの「こうもり」(ヨハン・シュトラウス2世作曲)です。
また日本との比較ですが、伝統的に大晦日を家族単位で過ごし、除夜の鐘で厳かに新年を迎える日本と違って、こちらは、賑やかに笑って騒いで年を越します。
「こうもり」は大晦日から元旦の朝のお話で、面白おかしく、特に第3幕は落語のように笑って笑ってセリフの多い幕です。写真は、国立歌劇場の大晦日。今回の「こうもり」は、配役がとても良く、さらに演技もに上手くて、笑って、楽しく、とても満足!! この年ならではのジョークも入り、にがい大笑い。嫌なことも笑い飛ばそうなのです。
オペレッタのメッカとも言われる、2つ目の国立の歌劇場であるフォルクス・オーパーは、大晦日には「こうもり」を午後と夜と2本立てで上演します。
今回は、covid-19対策で、すべての公演と飲食店の22時終了が決まっていました。が、例年なら、大晦日の「こうもり」はゲストも入って、遅く終わります。つまり、もう直ぐ、真夜中、新年のカウントダウンです。そのころ、旧市街には人がたくさん集まってきています。クリスマスのイルミネーションがそのまま残っている街中は、華やかで、いくつか特設舞台が作られていて、そぞろ歩くのが楽しいです。
街中の国立歌劇場で「こうもり」を見た後なら、そのまま賑やかなケルントナー通りを歩いて、シュテファン大寺院の前の特設舞台の音楽を聴きながら、午前0:00を待つのもいいですねぇ。新年到来にはシュテファン大寺院の一番大きい鐘の低い音が響き渡り、花火が上がって、スパークリングワインで乾杯して、おめでとう!!
また、フォルクス・オーパーで「こうもり」を見た後なら、例えば、近くのレストランに行って新年を迎えます。これは実際1994年に体験したんですが・・。お店の人がタイミングよくラジオをつけて、レストランにいたままでカウントダウンとシュテファンの鐘の音が聞けて、放送でそのまますっと「美しき青きドナウ」のワルツが、静かに流れ始めるんです。そうすると、座っていたお客さん達が、思い思いにすっと立って自然にワルツを踊り出す。当時まだ観光客だった私は、まぁなんて素敵と、うっとりしました。
国立歌劇の「こうもり」はちょっと時差ライブでテレビで中継されました。それで、さっき見たばかりの3幕を家でもう一度見ることができて、そうこうするうちに午前0時、住宅地でも花火がたくさん打ち上げられて、新年になりました。
ちょっと寝ると、元旦はウィーン・フィルハーモニーのニューイヤー・コンサートです。現地ではお昼前11時過ぎに始まります。こちらのNHKのような放送局ORFが、世界90か国以上に中継します。なかなかチケットが手に入らないコンサートなので、地元でもテレビで楽しむのが定番です。テレビならではのバレエのシーンや、ORFが特別に作った映像も面白いです。
今年の指揮者は、ダニエル・バレンボイムさんでしたよね。彼のスピーチは特別長くなりました。covid-19で人々が切り離されてしまう時に、文化や同じような思いの輪が人々をつなげてくれれる、というような内容に共感しました。
日本のお正月の三箇日と違って、こちらは1月2日からもう普通の日です。もちろん、学校のお休みや、会社の休暇は別ですが。
1月6日は「東方の三博士」が生まれたばかりのイエス様を馬小屋に訪れる日で、祝日です。この日は三博士(または賢人や王様)に扮した子供のグループが、歌を歌いながらあちこち回って、募金を集めます。
この頃、そろそろクリスマスツリーや飾りを片付けます。街角に、ツリーの木の回収場所ができます。クリスマス気分も終わり。年末年始も含めて、体重増えちゃったわ、などの会話は日本も共通です。
どうぞ、少しずつ良い年になりますように!!
井上 元子