日本では今の時期「杉花粉」に悩まされている方が多数いらっしゃるかと思います。 オーストリアへ来るまでは私もその一人でした。
ウィーンに住むことの3大メリット:
・ 水(水道水)が良い(アルプスの天然水直引き)
・ バターがおいしい(オーストリアは酪農国)
・ 花粉症(杉花粉)がでない
最近までずっとそう思ってきました。
ドイツの文豪ゲーテの詩にシューベルトが曲をつけた「魔王」、あの衝撃の旋律を 皆様も一度は耳にしているかと思います。このタイトル「魔王」、ドイツ語では Erlkönig、 誤訳・曲解があり今では「ハンノキ王」とされているようです。
このハンノキがまさに「魔王」
ハンノキの花穂
ハンノキ属、ここでは花粉症を引き起こす代表的なアレルゲンです。
確かに2、3年くらい前からこの時期になると目がゴロゴロしたり、鼻がムズムズすることがありました。 でもたいして気にすることなくすんでいました。
そこへ新型コロナの世界的大流行、元気になった自然が花粉を飛ばしまくったようで、 今年は室内でもメガネ・マスクが必需品です。 風向きによってはサハラ砂漠からの砂も飛んできます。 (代わりにといっては何ですが、マスクをして外出しても不審者には思われません)
「魔王」ハンノキ属の傍らにはヘーゼルナッツ属も控え、いっしょに花粉をふりまいています。 ヘーゼルナッツおいしいよね、とかそういった話ではすみません。
セイヨウハシバミ(ヘーゼル)の花穂
約 450 年前にノストラダムスはその予言詩の中で、
「空から恐怖の大王がやってくる」(Du ciel viendra un grand Roy d'effrayeur)
と意味深なことを書いています。
そしてその通り「恐怖の大王」=「魔王」が花粉となって「空から降り注いで」います。
逃げてもだめです。メガネとマスクで変装し、見つからないように工夫しないといけません。
この実に余計なことを詩に残したノストラダムスですが、実はハプスブルグ家とも縁のある方です。 これはまた機会をあらためてご紹介しようかと思います。
大渕元子