エリザベス女王の王冠とハプスブルク家

2022/09/28

雑記 歴史

安倍元首相国葬

9月も下旬となり、ウィーンは冬に近づきつつあります。お昼は暖かい日差しの心地よい気温ですが、最低気温は5度前後で早朝の移動や夜の劇場観劇から帰宅に着く際は涼しいというより寒いです。観光予定の方はコートを忘れずにお持ち下さい。

電気やガスなどのエネルギー高騰も気になる所ですが、今月から国民一人につき500ユーロがオーストリア国家より早速配られ始めました。口座にそのまま振り込まれる方、大半は金券が郵便で送られる為、銀行のある郵便局で現金化します。

9月は悲しいお別れもいくつかありましたね。7月には安倍元首相への追悼の記帳が、遠く離れたウィーンの日本大使館でもありましたが、
今月の27日には国葬が取り行われ、ウィーンのニュースにも流れています。こちらでは朝の7時30ごろ岸田総理の追悼の辞を始め日本のライブニュースをネットで見ることが可能でした。
いつも在位期間が短く世界では見えにくかった日本のリーダーが、安倍元首相の8年8ヶ月という最も長い在位期間の中で、やっと海外で認識された事も国際社会での第一歩だと感じています。
又、日本中を地道に足を運んでいた阿部元首相を多くの日本国民も、どこかで見かけた経験があるのでは?
私は、第2次安倍内閣が始まってすぐの2013年1月に新幹線の駅でお見かけしました。
多くの取材陣と、関係者に囲まれた安倍元首相が、突然ホームに現れ圧倒的なオーラと、優しい眼差しがとても印象的でした。
安倍元首相のご冥福を心よりお祈り申し上げると共に、残されたご家族や親しい方々に少しでも穏やかな日々が訪れる事を願っております。

9月8日にはイギリスのエリザベス女王の訃報も世界中を駆け巡りました。
オーストリアでは、9月5日に最も有名で愛された芸術家の一人
Kumpf(1930-2022)氏が、この世を去った悲しい知らせが届いた後でした。
ウィーンに訪れた事がある方は、自然史博物館の前にある可愛らしいゾウの彼の作品を覚えていらっしゃるのではないでしょうか?オーストリアの自然や動物の可愛らしい絵葉書も目にしているはずです。環境や動物保護のイメージと共に、非社交的にも見える彼の作品の登場人物は、否定的な意味では無く社会で一匹狼の様に独立独歩の人も存在している事を表している様です。ドロッテウム(オークションハウス)に作品が展示されていますので興味のある方は是非お立ち寄り下さい。作品は永遠です!



イギリスとハプスブルク家

エリザベス女王はイギリスを70年も統治し、世界でも首位を争うほどの長い在位期間となりました。
ハプスブルク家が統治していたオーストリア.ハンガリー帝国では、最後から2番目のフランツ・ヨーゼフ皇帝が18歳から86歳まで68年間という長い期間皇帝として君臨されていました。
お庭を散歩する皇帝の銅像には、今でも王宮のお庭でお会いすることが出来ます。

長く続いているイギリス王室ですが、祖先はドイツ系でもあります。
イギリス王室から、ドイツのハノーファー選帝侯と結婚したプロテスタントの王女ゾフィーの息子が、ジョージ一世としてイギリス王になりました。ここからイギリス王室は現在につながっています。
ちなみにカトリックに改宗した選帝侯の兄の娘アマーリエ・ヴィルヒルミーネがハプスブルク家ヨーゼフ一世の妃となっています。ヨーゼフ一世皇帝は若くになくなったためマリアテレジアの父であるカール六世が皇帝となり、マリアテレジアの息子ヨーゼフ二世が父亡きその後皇帝の座を引き継ぐ事になりますが、2番目の妻は、アマーリエ・ヴィルヒルミーネの孫マリア・ヨゼファです。
なんとも複雑な婚姻関係ですが、イギリス王国とハプスブルク家はしっかり親戚同士であるわけです。ちなみにイギリス王室は、第一次世界大戦中に敵対国となったドイツ系家名をウインザー家に改名しています。

王冠

エリザベス女王が崩御された際に、棺の上に美しく輝く王冠が置かれていました。
スコットランドの首都エディンバラでの一般公開では、16世紀に作り直された3000以上の宝石が輝くスコットランド王のものでした。
日本の天皇皇后陛下もご臨席されたロンドンのウエストミンスター寺院の国葬の後、棺は
ウインザー城へ運ばれ、聖ジョージ聖堂の夫の隣に埋葬されたそうです。
その際に、イギリスの王冠と一緒に宝珠や王杖も棺から降ろされた儀式が印象的でした。

イギリス王国と同じように、現在のチェコやハンガリーなど多くの国を統治していたハプスブルク家でも王冠はいくつかあり、儀式によって使い分けされ、墓石の周りにコピーが装飾として、又は肖像画の背景にもよく描かれています。イギリスと同じように代が変わると、王冠は古い王冠をリサイクルしながら新しく作られましたが、その一つ、ハプスブルク家では、芸術をこよなく愛したルドルフ皇帝のために作られた1602年の芸術的で意味合いにおいても完成度の高い王冠をその後もハプスブルク家の王冠として歴代の皇帝が使用することとなりました。
現在は、ウィーン旧市街の宝物館で宝珠と王杖と共に実際の王冠を鑑賞することが出来ます。



宝物館は、ウィーン少年合唱団が日曜日にミサで歌う礼拝堂の下にあります。
王冠は、街の至る所にも飾りとしてみることが出来、例えば美術史美術館周りの街灯の上です。


又、歴代の皇帝や皇后が眠る皇帝納骨堂もウィーンの旧市街に位置しています。


直近で王冠をご覧になりたい方、ハプスブルク家のお墓参りに行かれたい方におすすめのプライベートツアーのご提案は
1)旧市街と宝物館の2時間徒歩ツアー
2)旧市街と、皇帝納骨堂の2時間徒歩ツアー
勉強家さんやお時間のない方には、
3)皇帝納骨堂と宝物館の見どころ徒歩2時間ツアー
の3種類です。
歩きたくない方は、馬車での観光アレンジも可能ですよ。
お近くの旅行会社、又は現地旅行会社にてウィーンガイドを手配頂けます。
皆様のお供が出来る事を楽しみに、ウィーンよりお待ち申し上げております。