オーストリアはアプリコット(杏Marille)のシーズンです。
夏の初めはイタリアなど暖かい外国産、だんだん地元産になりますが、その中でもドナウ川流域のヴァッハウ地方の伝統的な品種は、特別美味しく、ちょっとしたブランドです。アプリコットの買い出しって、仰々しいけど何をするの?食べてもいいけど、ジャムも作るんです。わざわざ行くの?だってドライブできるから。
ここのアプリコットは、ど素人の私が始めてジャムを作っても、とってもおいしかったんです。それで毎年買いに行きます。
こちらでは、いちごジャムより、アプリコットのジャムの方が、ほんのちょっとポピュラーと思います。ザッハートルテやお菓子にもアプリコットジャムを使います。
ヴァッハウWachauはドナウ川でウィーンより上流、川がうまい具合にくねくね曲がり、切り立った岩山があり、その上に砦跡、なだらかな斜面に葡萄畑が広がり、ドナウ川で船下りをする、ご存知、一番景色がいい所です。葡萄の方もワインの特別な産地(たぶんオーストリアで一番有名)です。ヴァッハウは厳密には、上流がメルクMelkの少し下流から、ずっと下流のクレムスKremsまでの区間で、ユネスコの世界遺産です。
クレムスの近くのここで、いつもアプリコットを買います。
実は大きくてびっくり、シャーベットは手前にあるので大きく映っているだけで、お団子(クネーデルKnödel)の直径は8cmくらいあります。クネーデルは注文してから茹でる、暖かいお料理で、いろいろなバリエーションがあります。
一つの団子に一つのアプリコットが丸ごと入っています。切ると、あたったかいアプリコットが、とろ・ぽろり。あれ、種がない?どうして?「そそかしい外国人が噛みついて、歯がかけないように」。へぇぇぇえ、でも、種がないとクネーデルの中でつぶれちゃう?「角砂糖を1個入れておけばいいのさ」。ほぉぉぉぉぉぉお。まぁ、皮もむいてある、丁寧ねぇ。さっき来た自転車の人が、一人でアプリコットのクネーデルを4個も頼んでいる!! ここが特別美味しいの知ってるのね。この人は他のお料理なしで、つるつるお団子を食べてしまいます。これが楽しみで走って来たんでしょう!!
今まで食べたアプリコットのクネーデルは、お皿にきれいに甘いソースが広げてありました。お団子自身は自然な味で特別は甘くないので、ソースをつけて食べる。でも、ここではそれがアプリコットのシャーベットで、これが暖かいお団子の横で少しずつ溶けて、冷たいソースになって、夏にはさわやかで、とても美味しい!!
初めはお団子は一人一個かと思ったら、標準オーストリア人並みに一人で2個食べたので、うれしい、美味しい、でもお腹いっぱい。それでは散歩に行きましょう。
もう、レストランの奥に教会がそびえています。古い堂々とした建物です。ここはお祈りの場所だけでなく、敵に襲われた時に、住人が立てこもって戦う砦でもある、珍しいタイプの教会(城砦教会)です。塔の日時計の下あたりを拡大しますね。上がギザギザの厚い壁に、鍵穴のような穴がいくつもあります。昔はあそこから、弓を射るんです。日本の戦国時代のお城にも、そういう穴が開いていますよね。教会はしっかり建ててあるもので、壁も分厚い、町の城壁にもなって住人を守るんですね。もっと歩きましょう。
ここにもアプリコットMarille、今度はジャムで売ってます。無人販売で、お金は真ん中の瓶に入れてってのタイプの様です。