オーストリアで見つかったミイラの話

2022/11/20

科学 雑記

多民族国家で広大な領土があったハプスブルグ家のオーストリア帝国時代と違い、 今のオーストリアはこじんまりとした内陸国です。


国の大きさのわりにこの国はミイラがお好きなようで、世界的話題となるミイラが見つかります。 (エジプトのように手を加えてミイラ化させたものでなく、自然にミイラ化したものです。)


約30年前にはオーストリア・イタリア国境で約5300年前の保存状態の良いミイラが発見されました。

(このミイラは最初インスブルックに送られましたが、その後発見された場所が国境線から ややイタリア側だったことが分かり、南チロルに移され、南チロル考古学博物館に保存されています。 通称エッツィ、日本ではアイスマンとして知られています。)



南チロル考古学博物館(入口)


そして今年はハロウィン直前に発表された、シュターヘンベルグ伯爵家の赤ちゃんミイラの話です。 (ハロウィン直前って、わざわざ狙ったんでしょうか?)

昨年9月頃のニュースではまだ「名前のない」赤ん坊のミイラだったのが、 今回は名前も分かり、死因も判明したことで話題になっています。

こちらも素人目にも極めて保存状態の良いミイラです。


このお坊ちゃま(Reichard Wilhelm と名前が判明しています)の直接の死因は肺炎ということですが、

そのもと疾患としてくる病があったことも分かりました。 くる病といえばビタミンD欠乏。 日本にくらべて冬が長く日射量の少ないこの地域では、ビタミンD不足になりやすく、 大勢の人がビタミンD剤をとっています。 真冬の気温の低いときでも陽が射しさえすれば、半袖で日光浴する人を見かけるのも、 こんなところに理由のひとつがあるようです。


これからクリスマスに向かってまだ1ヶ月間は昼が短くなっていきます。 お日様の恋しくなる季節です。

皆様もビタミンDを十分にとって、お元気でオーストリアへお越しください。




大渕元子