黄昏の「愛しのアウグスティン!」

2022/08/23

コロナ 雑記 歴史

新型コロナウイルスの全世界的流行が始まって3年め、2年半以上が経過しました。
今もウイルスは変異を重ね、世界中で多数の感染者をだしていますが、
重症者が減ったこともあり、これ以上は社会経済的にも回らないということもあり、
今ようやくほぼ普通の感染症扱いとなりました。


ヨーロッパは陸続きですので、島国日本とは感染症の発生頻度・規模が違いました。

例えば1679年からウィーンを襲ったペスト禍。人口の5分の1が犠牲になったとも言われています。


そして伝説がうまれました。

実在したともいわれるバグパイプ吹きのアウグスティンです。

酔っ払ってその辺で寝込んでしまい、ペストの犠牲者といっしょに葬られかかったにもかかわらず 無事生還したというアウグスティンです。 それで歌にもなっています。


アウグスティンが常連客(常連演奏者)だったとされる、現存するお食事処グリーヒェンバイスル Griechenbeisl の入口床下にはこの逸話をもとにしたアウグスティン(人形)が眠りこけていますし、ペスト穴に放り投げられた場所には「アウグスティンの泉」が設けられていました。



グリーヒェンバイスル入口下


アウグスティンの泉


この「アウグスティンの泉」は現在進行中の地下鉄工事のため解体され、現在はウィーン川のほとりに置かれています。



不審者???


外から建物の中を覗き込む不審者!

よく見てみれば隣の台石に Augustinbrunnen (アウグスティンの泉)の文字が。

陽気な吞み助アウグスティン、ペストにも負けなかったアウグスティンも地下鉄工事には勝てず、 すっかり黄昏れていました。


泉のほうは工事終了後修復されて元の場所に戻されることになっていますが、

同じ場所にあったシューベルトを記念して60年前に植えられた菩提樹は切り倒されることになってしまいました。 (代わりに20本の別の木が植えられる予定だそうです)




大渕元子