夏は屋外の催しの季節です。
オーストリアで有名な野外のオペラ、オペレッタ、ミュージカルの舞台は、例えば、
・ブレゲッツ : ボーデン湖に舞台を作る、今年は「蝶々夫人」
・メルビッシュ : ノイジードラー湖に舞台を作る、今年は「マンマ・ミーア」
・ザンクト・マルガレーテン : ローマ帝国時代からの石切り場、今年は「カルメン」 。
それぞれの環境に合わせて、指揮者が船で登場したり、屋内ではできない広い舞台や大きな火を用いたり、野外では個性があります。夏の開放的な雰囲気もあって、楽しいですよ。
さて、私は先週、クロスターノイブルグKlosterneuburgの野外オペラに行ってきました。ウィーンから北へ、近いのですが観に行くのは初めて。「大好きな地元歌手が歌って、演出もしたから、行こう」と誘われました。今年の演目は、ヴェルディ作曲の「ドン・カルロ Don Carlo」です。
ここは大きな修道院の門前町のような街で、街の名前と修道院の名前が同じ。上の写真で奥に見える2本の塔は、修道院の教会の塔です。この修道院については2021年に、私達のブログの「勉強会」記事にもあります。郊外での催しで楽しみの一つは、少し早めに現地に行って、お散歩したり、地元のワインと軽食をとったり 。
開始前、この前庭であった説明会に参加しました。演目の「ドン・カルロ」は16世紀スペイン宮廷の話ですが、当時の王家はハプスブルグ家です。僧侶姿で神聖ローマ皇帝カール5世も登場します。オーストリアこそ、王家はハプスブルグ家で、上の写真の部分など皇帝カール6世が造らせたました。このハプスブルグ家と特別関係の深い修道院で「ドン・カルロ」が上演できることは・・・・・という説明に、ふむふむ。
また、今回は主役カルロ(皇太子)の父親、スペイン国王フィリップ2世の役が、地元の実力と人気のあるグロイスペックGünter Groissböckで、さらに彼が演出もしたのです。評判はとてもよく、追加公演も決まっています。
開始直前に、国立歌劇場での立見仲間が声をかけてくれました。彼女の娘と息子がオーケストラで演奏すると。姉はチェロのソロ(まぁ大切なパート)、弟はトランペットです。お母さん、嬉しそう。弟なんて私より背が低かったのに、立派になったもんだ。彼らも親子で立見に通っていたのです。若さと地元を感じます。
さて、音楽、歌、演出も演技も、とても良くて、大満足。
終了は23時20分。まだ国鉄は動いているし、ウィーン市内に戻れば一晩中地下鉄が走っている金曜日を選んだので安心して帰宅。
井上 元子