フンデルトバッサー ミュージアム 再オープン
長い事修理のために閉館していたフンデルトバッサーの美術館が今年の3月にやっと再オープンしました。
季節によって異なる顔を見せるフンデルトバッサーの建築は、現在初夏を迎えつつあるウィーンに緑豊かで通行人に安らぎを与えてくれます。
秋になると紅葉で、冬は雪化粧され、ウィーンの季節の美しさと共存しながら日々成長しています。そんなフンデルトバッサーの建築物は、少し暗くなったウィーンの夜も私達にまた異なった顔を見せてくれます。
白と黒の模様のkunsthausは、家具のトーネット工場跡地を利用し1991年にオープンしたフンデルトバッサーの作品を見ることが出来る美術館です。ミュージアムカフェには、様々な椅子と多くの植物があり、疲れた私たちの心を癒してくれる場所。
近くには、フンデルトバッサーデザインの市営住宅があり、多くの観光客の方が色とりどりの市営住宅の外観の写真を撮る姿を目にします。日曜日も開いているお土産屋さん(9:00-19:00)
Hundertwasser Village(フンデルトバッサー村)には絶対に訪れて下さい。
ちょっとディズニーの様な建築内部も見所。
フンデルトバッサーと5つの皮膚
フンデルトバッサー(1928-2000)は、ヒットラー占領時代を生き延びたユダヤ系の芸術家です。
画家、
建築家、
哲学者
の顔を持ち、環境保護の社会活動に力を入れてきました。
幼少期にキリスト教に改宗したものの、ユダヤ系であった多くの親戚は、強制収容所で亡くなります。
戦争時代を生き延びた彼にとって、自分を守ってくれた家は大事なものであり、戦後の工場での大量生産の時代に落胆し、全てにおいて、個性の重要さを私達に訴えています。
そんな彼が、人間の周りに存在する5つの領域を、私達にとって大事な<皮膚>に例えて、
<5つの皮膚>と呼んでいます。
第一の皮膚は 人間の皮膚、無くては生きていけませんね。大切な生命と言ってもいいでしょう。
第2の皮膚は衣服です。好みや、TPOに合わせて私達は色とりどりの服を着ます。
第3の皮膚は家です。食事をし、寝起きに、私たちを雨や風から守ってくれる家は大切な物。窓が目となり、ちょっと落ち込んだ内向的な時だって、窓が目となり外の様子を伺う事が出来ます。
服が、色とりどりであれば、家だって色んな色を使ったっていいでしょう?
第4の皮膚は、社会環境とアイデンティティです。私達は、家族、学校、職場、地域、日本、大小様々なな社会環境の中に自分を置いています。
第5の皮膚は、地球規模の環境です。
戦争を経験し、ウィーンの街が破壊されていく状況に心を痛めたウィーン人達。戦後、平和を保っている現代の日本人にはわかりにくいですが、日本には災害があります。
今年の能登半島の地震でも、人々はあっという間に、自分の家を一瞬で失い、避難先で、新しい服を寄付されるものの、自分で選んだ全ての物を懐かしく感じていたのではないでしょうか?新しく交通が便利な整った環境の家よりなぜか自分の地域に帰りたがる人は後をたちません。自分の家や地域は大切な自分のアイデンティティだからです。
そのためには、住んでいる地域の環境保護に力をいれなくてはいけません。
これがフンデルトバッサーの言う、私たちが普段気づきにくい大事な5つの皮膚なのです。